ソメイヨシノ Prunus × yedoensisはエドヒガン P. pendula Maxim. f. ascendens (Makino) Ohwiとオオシマザクラ P. lannesiana var. speciosaの雑種が起源である可能性が高い。なお学名の×は自然種間交雑種の表記であり、人工交配種の場合この表記は用いられないという。ソメイヨシノが自然交雑種なのか、人工交配種なのかは不明だとしてこの学名の妥当性に疑問を呈する声もある。エドヒガンではなく、コマツオトメのこう配だという研究結果もある(ただしコマツオトメも種としてはエドヒガンの園芸品種で、その中の1クローンではある)。
起源についての諸説 ソメイヨシノは江戸時代中期-末期に園芸品種として確立した。園芸家による人工的な品種改良作出説と自然交雑したものを園芸家が挿し木によって増やしたという説とがある。また、アメリカの植物学者アーネスト・ヘンリー・ウィルソン(Ernest Henry Wilson)博士は、ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの雑種ではなく独立した種であるとの説を唱え、竹中要博士がその説を実験的に証明するため様々な交配を行ない、その中から広い意味で形質が基本的に「ソメイヨシノ」と差異のないイズヨシノを生み出した。
1916年に、屋久島のウィルソン株にその名を残すアメリカのアーネスト・ヘンリー・ウィルソン(Ernest Henry Wilson)によりオオシマザクラとエドヒガンの雑種説が唱えられ、国立遺伝学研究所の竹中要(たけなか かなめ)の交配実験により、オオシマザクラとエドヒガンの交雑種のなかからソメイヨシノおよびソメイヨシノに近似の亜種「イズヨシノ」が得られることがわかり、1965年に発表された。これを受けて、自然交雑説をとる場合、オオシマザクラおよびエドヒガンの分布状況から伊豆半島付近で発生したとする伊豆半島発生説が唱えられた。しかし、現地調査から自然交雑の可能性は否定的である。また、「サンセットコスモス」などで知られる育種家の橋本昌幸が竹中の説にしたがい交配した桜はソメイヨシノに似ず、また1988年に遺伝研の助手をしていた中村郁郎も「イズヨシノ」はソメイヨシノに比べ樹高が高すぎると感じていた。